確率

1.何を学ぶのか

 

同じ条件の下で繰り返すことのできる実験,観察などの作業を試行といい,試行の結果起こる事柄を事象といいます。例えば「2個のサイコロを投げる」のは試行ですが,「家の前でお金を拾う」は試行ではありません。2個のサイコロを投げた結果起こる「2と5の目が出る」は事象の1つです。

 

 ある特定の事象が起こる確率は,その事象の場合の数を,起こりうる全ての事象(全事象)の場合の数で割ったものです。ただし,全事象の1つ1つ(根元事象)は,その起こり方が「同様に確からしい」必要があります。

 

 難しいので,具体例を挙げましょう。

 

「2個のサイコロを投げるとき,目の和が3になる確率」の場合です。

 

対象としている事象の場合の数は(Aの目,Bの目)=(1,2),(2,1)の2通りで,2個のサイコロを投げたときの全事象は36通りです。この36通りは全て平等に起こりうること,つまり同様に確からしいことですね。その36通りのうちの2通りが起これば目の和が3になるわけですから,求める事象の確率は 3/36 ということになります。

 

 

 これに対して,「画鋲を投げるとき,針が上を向く確率」はどうでしょう。対象としている事象の場合の数は1通りで,全事象は針が上を向くか下を向くかの2通りです。

 

しかし,求める確率は1/2ではありませんよね。どう考えたって,2回に1回の割で針が上を向くというのはおかしい・・・

 

 これは,全事象で考えた「上を向く」「下を向く」2通りの場合の起こり方が平等でない,つまり同様に確からしくないからです。このような場合の確率は,この分野では求めることができません。

 

 

 この分野では「順列と組合せ」の章で学んだ方法を用いて,求める事象と全事象の場合の数を求め,それを分数の形にして,確率を求めることになります。前の章の内容が分かっていれば,同じ感覚で学習することができるでしょう。

 

 

 この分野において応用ともいえるのが,同じ試行を繰り返す反復試行,ある事象が起こった前提で,別の事象が起こる条件付き確率の2つでしょう。

 

前者では「サイコロを10回投げて,1の目が3回出る確率」といった問題を考え,後者では「引いたくじを元に戻さない場合,1人目が当たりくじを引いた後,2人目が当たりくじを引く確率」といったことを考察します。

 

 

 

2.何ができればよいか

 

① 試行,事象,同様に確からしい などの確率用語を正確に覚える。

② 「順列と組合せ」の分野を完全に理解する。

③ 余事象の確率を活用して,確率の計算ができる。

④ 反復試行の確率を計算できる。

⑤ 試行の独立について理解し,条件付き確率を計算できる。

 

※この分野が苦手な人は,まず以上の①~⑤が出来るようになってください。

 

   → 公式を覚えたい人はこちら

 

 

 

3.勉強のポイント

 

この分野は前章の「順列と組合せ」で学習したことを用いて進んでいきますので,上の②のことが前提条件です。もしこの分野が苦手だという人は,まず「順列と組合せ」の分野を完璧にする必要があります。

 

 確率の計算は(今考えている場合の数)/(全ての場合の数)という分数を作るのが基本ですが,時に,あらかじめ分かっている確率同士を足したりかけたりして求めることもあります。

 

また,反復試行の場合は特殊な求め方が必要です。教科書に載っている例題をパターンだと考えて,解き方をある程度覚えていくようにしましょう。

 

 条件付き確率を求めるには,2つの試行が独立であるかどうかや,前提条件として起こりうる事象をすべて書き出せるかどうかなど,様々な技術が必要となってきます。様々な応用問題も登場しますから,まずは簡単なものからしっかりと理解していきましょう。