行列とその応用

 

何を学ぶのか
 数学でいう行列とは,長方形の形に数を並べて作った塊のことをいいます。ある事柄がいくつもの数で表される要素を持っている場合,その数の塊全体を1つのデータとして処理すると便利なことがあります。
 まず初めに,行列同士の和,差,積を定義します。次に逆行列というものを考え,これによって行列の割り算も考えられるようになります。

 行列によってできることで,大きなものが2つあります。

1つ目は,連立方程式の分析です。1次方程式や2次方程式の解がグラフを使うとよく説明できるのと同じように,連立方程式の解は行列を使うとよく説明ができます。連立方程式の解を行列を用いて計算したり,連立方程式の解を行列をもとに分類したりすることができるのです。

2つ目は,平面上の合同変換です。行列は,図形的には「変換」を表すと考えることができ,ある点の座標に行列を掛けることで,その点を対称移動させたり,回転移動させたり,平行移動させたりすることができるのです。このような移動は「1次変換」とか「線形変換」とも呼ばれ,大学に入って初めに学習する「線形代数学」の基礎となります。
何が出来ればよいか
@ 行列の和,差,積を計算できる
A 逆行列を求めることができる。
B 行列を用いて連立方程式を解くことができる。
C 行列を用いて,回転移動をすることができる

※この分野が苦手な人は,まず以上の@〜Cが出来るようになってください。
勉強のポイント
 率直に言えば,この分野はとても簡単で取り組みやすいと思います。行列の積や,逆行列の部分が少しややこしいかも知れませんが,ちゃんとした規則を覚えればできるはずです。
 この分野は,単独で出題される問題が極めてワンパターンです。行列の性質を問うものであったり,ケーリーはミルトンの定理を利用するものであったりと,ある程度のパターンを覚えておけば十分に対応できます。
 そんな中,行列を用いた変換は,少し力を入れて学習して欲しいものです。行列を掛けることが,点を移動させることにつながる,という1次変換の発想は,慣れるまでなかなか理解しづらいものです。特に,図形を移動させるための3つの移動(平行,対象,回転)のうち,行列を利用しなければ不可能なのが回転移動です。数学Cが受験で必要ない生徒でも,この回転移動を知っていればずいぶん楽になる場面があります。

 この分野は,大学に入ってから詳しく学習する分野でもあります。もしあなたが理工系学部への進学を考えているなら,大学ではこの章を基礎として「線形代数学」という学問を展開します。しっかり勉強しておいてください。