数と式

 

何を学ぶのか
 中学校で文字式を勉強したと思います。それを少し詳しく学習するのがこの単元になります。

 単項式,多項式をまとめて,整式といいます。整式の加法,減法は同類項どうしをまとめることで計算できますし,整式の乗法は累乗の規則,整式の加法・減法を組み合わせた「展開」という操作で計算できます。展開の公式は「乗法公式」と呼ばれ,中学校で学ぶものの他に幾つかの新しい乗法公式を学習します。

 展開された式を元の状態に組み立てることを因数分解といいます。因数分解の公式は乗法公式の逆で,中学校で学習したものに加え,いくつか新しい公式も学習します。高校で習う最も重要な因数分解は「たすきがけ」と呼ばれる方法を用いるものです。その機械的な操作には,十分慣れておく必要があります。また,複雑な整式の因数分解をするには,公式を覚えるだけでなく,ある文字について整理したり,ある部分を塊と考えて処理したりと独自の工夫が必要になります。そのさまざまな方法について学習します。

 次にこの単元では,実数と呼ばれる数体系を学習します。実数自体は中学校でもおなじみのものです。実数は全て数直線の上に並んでいます。ある実数aが数直線上にあるとき,aと原点Oとの間には距離があります。この距離をaの絶対値といい,|a|と書きます。絶対値の計算は,aが正のときと負のときとで異なる処理がなされます。

 2乗してxになる数を,xの平方根といい,0以外の正の実数には必ず2つの平方根√x,−√xが存在します。

 この章で学習する内容は,3年間の高校数学でのあらゆる計算の基礎となります。しっかり理解し,あとで苦労することがないようにしたいものです。

何が出来ればよいか
@ 乗法公式を全て覚え,使えるようにする。
A 因数分解の公式を全て覚え,使えるようにする。
B 公式 acx2+(ad+bc)x+bd=(ax+b)(cx+d)による因数分解(たすきがけ)が出来るようにする。
C 因数分解するために必要な「工夫の仕方」を理解する。
D 絶対値の図形的な意味を理解する。(原点からの距離)
E 絶対値|x-1|をはずすことが出来る。
F |x-1|=2,|x-1|>2 などの,絶対方程式,不等式が解ける。

※この分野が苦手な人は,まず以上の@〜Fが出来るようになってください。

勉強のポイント
 とにかく乗法公式と因数分解の公式を,完璧に覚えてください。全てはそれからです。
展開は誰でも,落ち着いてやれば必ず解けます。問題は因数分解です。

 教科書に「たすきがけ」という言葉は載っていないかもしれませんが,必ずこの方法による解法が,ページを割いて説明してありますし,授業のときに先生も力を入れて説明されるはずです。この方法をマスター出来ないと,高校3年間,計算で苦しい思いをすることになります。なんとしてでも出来るようになっておきましょう。

Cで「工夫の仕方」を理解しなさい,と言いましたが,工夫の仕方には次のようなものがあります。

     1.共通因数があれば,くくりだす。
     2.同じ塊の式を含んでいたら,それをAなどと置く。
     3.何種類も文字が含まれているときは,最も次数が低い文字で整理する。

以上を行ったうえで,公式を適用することになります。

絶対値は中学校でも出てきますが,高校では記号を用いて|a|と表現します。これが全ての困難の始まりです。

|a|と書いてある以上,aは正の数,0,負の数の全ての可能性を持っていることになります。でも,たとえaがどれであっても,絶対値は正の数か0でなければなりません。aが正の数だったとしたら,a自身と|a|とは同じになりますから,|a|=aということになりますが,aが負の数だったとしたら,|a|は「aからマイナスを取ったもの」となるべきです。

ところが,取るべき「マイナス」は「a」の中に埋まりこんでいるため,取ることが出来ません。そこで発想を変え,aにマイナスをつけることによって,内部に埋まりこんだマイナスを打ち消してしまおうと考えたのです。つまり,aが負の数のときは,|a|=−aと考えればよいことになるわけです。

絶対値記号で書かれた式から絶対値を取り外すためには,絶対値の中身が正なのか,負なのかを常に分けて考えなければなりません。正の場合と負の場合とで答えが違うからです。高校ではこのように,状況に応じて答えを書き分けなければならない「場合分け」という考え方が頻繁に登場します。練習を繰り返して,慣れておきたいものです。