§1 不定積分 | |
(数学V 積分法) |
1 | 不定積分 | |
ある関数 F(x) を微分したら, f(x) になったとします。このとき,f(x) のことを,F(x)の「導関数」というんでした。 逆に,F(x)のことを,f(x)の原始関数といいます。つまり原始関数とは微分する前の,元の関数のことです。 |
||
|
||
関数 f(x)=2x について考えてみましょう。この原始関数は何か?(つまり,微分すると2xになるような,元の関数は何か?)と聞かれたら,多くの人が 「x2」 と答えるでしょうね。もちろんその通りなのですが,実はこれだけでは不十分なのです。 というのも,「2x」の原始関数は,「x2」の他にもあるからです。 例えば,「x2+5」はどうですか? 微分すると「5」は消えてしまいますから,これは確かに2xの原始関数です。同様に,「x2-3」や「x2+100」,「x2+1/3」などでも構いませんよね。 微分したらどうせ定数は消えてしまうのですから,「x2」の後にはどんな定数がついていてもいいことになります。つまり,「2x」の原始関数は,定数を変えることによっていくらでも考えられることになります。 そこで通常は,「2xの原始関数は?」と聞かれた場合,「x2+C」のように,「はっきり言えないが,定数Cが付きます」という答え方をすることにします。この定数Cのことを積分定数といいます。 |
||
|
||
関数f(x)の原始関数は「F(x)+C」という式で書けることは分かりましたね。 さて,原始関数のことを別名,「不定積分」ともいいます。定数Cが付いてしまい,はっきり定まらないからです。 f(x)の不定積分を求めることを,「f(x)を積分する」といいます。 導関数を求めることを「微分する」といいましたよね。あれとちょうど逆の言い方になります。ですから,積分することは,微分することの逆計算になるわけです。 例えば関数f(x)=2xを積分すると「x2+C」になりますし,f(x)=cos xを積分すると「sin x +C」になります。 さらに,次のような記号を使って表現します。 「f(x)を積分したら,F(x)+Cになる」 ――→ 「∫f(x)dx = F(x)+C」 「∫」は「インテグラル」と読みます。積分するという英単語の頭文字,「S」をもじったものです。「∫」と「dx」は必ずセットで使い,この間に積分したい関数f(x)をはさみます。 |
||
|
||
では,これから色々な関数を積分することにしましょう。 |