楕円・放物線・双曲線のかき方 ~2次曲線の作図方法

数学まるかじり

今回は少し短めの記事です。

 

「2次曲線」と呼ばれる楕円放物線双曲線を実際に作図する方法を紹介します。

 

ノートの上や黒板・ホワイトボード上でお試しください。少し道具が必要なものもあります。

 

 

1.楕円のかき方

 

 ●楕円・・・2定点からの距離の和が等しい点の軌跡

 

① 定義に定義に定義に忠実に作図する方法

 

2個のピンと1本の紐を用意し,図のようにすれば作図できます。
F,F’が楕円の焦点です。

 

 

 

 

 

② 楕円コンパスを用いる方法

 

ひし形に十字の溝を作り,1本の棒の上の2点A,Bを溝の上にはめ込みます。Aは縦の溝を,Bは横の溝を自由に滑ることができます。
棒の先端付近Pに鉛筆をつけておけば,A,Bをいろいろ滑らせているうちに楕円を描くことが出来ます。
これは,xy平面上の2点A(0,a),B(b,0)を外分する点Pの軌跡が楕円になることを利用した道具で,実際に教育用品として学校用に販売されています。

 

 

 

2.放物線のかき方

 

●放物線・・・1直線と1点からの距離が等しい点の軌跡

 

① 定義に忠実に作図する方法

 

三角定規(縦長のほうがよい),直線定規,紐1本(三角定規の第2辺と同じ長さ),ピン1個を用意してください。 紐の一端を三角定規の頂点Aに固定し,もう一端は別の1点Fにピンで固定します。このFが焦点になります。

次に,三角定規を図のように,直線定規の上に置きます。三角定規はこの直線定規の上を,左右に自由に滑ることが出来ます。この定規が準線になります。
以上で準備完了です。三角定規の辺AH上に鉛筆を押し当て,紐をぴんと張った状態で三角定規を左右に滑らせて行けば,放物線が作図できます。
紐の長さは辺AHの長さと同じにしてありますから,図中のPHとPFは長さが等しいことになり,放物線の定義どおりになっています。

 

 

② 放物線定規

 

教師用の放物線定規が市販されています。単純に,放物線の形をした木製(アクリル製)の,大きさ80cmくらいの定規です。これをなぞって放物線を書くだけです。ノートの上に書く製図用?の小さめのテンプレートも市販されてはいるようです。
放物線は全て相似ですから,理論上この定規だけであらゆる放物線の「1部」を書くことは出来ますが,値段が高い割に,あまり用途はないような気がします。

 

 

 

3.双曲線のかき方

 

●双曲線・・・2定点からの距離の差が等しい点の軌跡

 

① 定義に忠実に作図する方法

 

直線定規1本,ピン1個,紐1本(定規より短い)を用意してください。 紐の一端を定規の一端Eに固定し,紐のもう一端は点Fにピンでとめます。定規のもう一端は点F’に固定し,定規がF’中心に回転できるようにしておきます。これで準備完了です。
定規に鉛筆を押し当て,紐をぴんと張った状態で定規を回転させれば,双曲線が作図できます。
紐の長さは定規より短くしてあります。例えば10cm短いのだとすると,図中のF’PとPFの差も10cmという一定値であるはずです。これは,双曲線の定義にあっています。

 

 

 

 

 

3つの2次曲線のかき方を紹介しました。

 

一番簡単にできるのは楕円で,私も授業中によく実践して見せていました。

 

2次曲線の中でも,特に双曲線は「距離の差が一定」という,直感的につかみづらい点の軌跡ですが,上の作図方法だと生徒たちもよく理解してくれたように思います。長めの定規とひもがあればできますので,ぜひお試しください。

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