びっくりする数
  数字でびっくりすることってありますよね。

「ええっ! 今月の電気代20000円!?」

「うそ!? 大根1本が298円!?」

たいていの場合,びっくりするのは数字が大きかったときなわけで・・・

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数学では,この「!」(エクスクラメーションマーク,通称びっくりマーク)を用いた数が登場します。

「2!」,「8!」のように,数字の後ろにびっくりマークがついた数です。

これは別に,数字に驚いているわけではなく,「階乗」と呼ばれる数です。

 1!=1
 2!=1×2
 3!=1×2×3
 4!=1×2×3×4
・・・

というように,1からその数まで,階段状に掛け算をしなさい,という意味なのです。

この数は次々に掛け算をしていくので,ちょっとした数でもあっという間に答えが大きくなってしまいます。上の「4!」の答えは24ですが,1つ増やして「5!」になると答えは120,「6!」は720,「7!」は5040,「10!」にいたっては3628800という風に,一気に答えが大きくなります。

「100!」当たりになると,もう答えが大きすぎて,計算する気にもなりません。億とか兆とかそんなレベルではなく,158桁の数字になってしまいます。


先ほど「別に,数字に驚いているわけではなく・・・」と書きましたが,この「階乗」を表す記号に「!」が使われるようになった理由は

「開発者が,あまりの数の大きさに驚いたから」

という説が有力でして,あながち数字に驚いていない,とはいえないそうです。


ただこの階乗という数,いったい何に使うのでしょうか・・・

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A,B,C,Dの4文字をいろいろ並べ替えて,単語を作りたいとします。

ACBDとかDACBとか,いっぱい作れそうですが,果たして何通りあるのでしょうか。

この問題は次のような掛け算で考えることができます。

 一番左の所に使える文字は,A,B,C,Dの4通り
 左から二番目に使える文字は,上で使った文字を除いて3通り
 左から三番目に使える文字は,さらに使える文字が減って2通り
 左から四番目に使える文字は,残った文字だけなので1通り

同じ文字は2回使えないので,後の位になるほど階段状に数字が減ってしまうのがポイント。結局単語の数は

 4×3×2×1

より,24個ということになります。

おや,この式には見覚えがありますよ。4から1まで掛け算しているので,「4!」ではありませんか。


もしA,B,C,D,Eの5つを並べて単語を作るとしたら,作り方は5!通り。10個の文字を並べるときは10!通りだといえそうです。

階乗!は,何個かのものを並べる方法を数えるときに使われる計算だといえます。

高校数学の「場合の数」,あるいは確率といった分野では,頻繁に登場する記号であり,長い式を短く書くための便利な記号です。



この考え方を少し広げてみます。



銀行のATMなどで,4桁の暗証番号を使うことがおありだと思いますが,暗証番号は自分で考えることができるので,皆さんいろいろな番号を使ってらっしゃることでしょう。

0793,1682,2789,0040,など,いくらでも考えることができます。

ところでこの暗証番号,いったい何通り作ることができるのかというと,今回はさっきと違い,同じ数を何回でも使えますので

 千の位に使える数は0〜9の10通り
 百の位に使える数も10通り
 十の位に使える数も10通り
 一の位に使える数も10通り

トータルで10通り×10通り×10通り×10通り=10000通り

と求めることができます。「階段状の掛け算」にはなりませんので,「!」が出てこないのが少し残念ですが・・・

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さて,ここまでせっかく並べ方の数という話をしましたので,最後にこんな話題はいかがでしょうか。

電話番号は何通り作れるのでしょうか。

政令市や県庁所在地は別として,一般的な地方では

 0△△△−□□−□□□□

という数配列になっています。△のところは市外局番なので自由に決めることができませんから,6箇所ある□のところに数字を入れて,何通り作れるか考えてみましょう。

□に数字を入れる方法は,

 10通り×10通り×10通り×10通り×10通り×10通り。

つまり,100000通りとなります。

市外局番の次の2桁は市内局番なので,本当は自由には決められないのですが,理論上は1つの市外局番に対して100000世帯までは電話番号を作ることができます。

小さな市町村の場合は市外局番が長くて,0△△△△−□−□□□□となっています。これだと10000世帯までしか使えませんが,人口を考えるとこれで十分です。地区内で市外局番をダイヤルすることはありませんので,残りの桁数が少ないほうが便利でいいわけです。

大都市になると,100000世帯だけではとても足りませんので,市外局番を短くして対応します。

 0△△−□□□−□□□□・・・100万世帯

 0△−□□□□−□□□□・・・1000万世帯

日本の電話番号は,その地区の人口に応じて桁数がうまく調整されていることが分かります。

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今日のテーマは「場合の数」でした。樹形図という言葉を覚えている方もいらっしゃると思いますが,今日の問題みたいに場合の数が大きいと,すべてを書き出すのは大変です。掛け算を使って計算をすると,楽だし正確に求めることができます。「!」は,この考え方に貢献する,まさに便利でびっくりな数だといえるのです。

ところで,家計簿をお付けになるときはくれぐれもご注意を・・・

「何と大根1本が¥298!」

ただでさえ高い大根が,もっと高くなっちゃいますよ。