ありがとう,対数(1)

 

対数は本当にいろいろな分野で活躍しています。その大きな要因は,対数の2つの性質

                @logaMr=rlogaM
                Alogaxy=logax+logay

にあります。特に底が10のものは常用対数と呼ばれ,最も多く応用されています。

身の回りには「10n」で表現される数値がたくさんあります。化学では分子量や濃度を,例えば「6.0×1023」のように表現したりしますし,天文学では恒星間の距離を,測地学では地震のエネルギーの大きさを表すのにこの「10n」という表現を使います。要するに,巨大な数値を扱わなければならない分野で,頻繁に出てくる表現です。

例えばある量を「レベル」別に分類したいとします。しかしその量は,紙に書くのが大変なくらい巨大な桁数の数値になるとします。

 ア) 3245,イ) 536710932,ウ) 37482930418948550028394610

くらいまでなら何とか書くことが出来ますが,あんまり大きいようだと

 エ) 0.37×1034

といった書き方も必要かもしれません。

これら数値の桁数を,そのレベルと呼ぶことにすると ア)の場合は「レベル4」,イ)は「レベル9」,ウ)は「レベル26」という風に定義できます。エ)の場合は,「1034」と部分を見れば,すぐに「レベル34」だと分かりますね。

つまり,「A×10n」(ただし0<A<1)という形にしてしまえばその数は「レベルn」だと分かることになります。数の大きさを,指数だけで表現してしまおうというのです。こうすることで,どんな巨大な数でも効率よく,nという小さな数で分類することが出来ます。

もう少しきちっといえば,これは対数による定義だといえます。数のレベルは,その数に「log10」をつけてみて,

             log10(A×10n)=log10A+log1010nlog10A+n

とし,その整数部分nである,と約束してしまえばよいのです。対数の性質@,Aのおかげで,巨大な数をキレイに分解し,簡略化することが出来るのです。

さて,難しい話が続いてしまいましたが,この「数のレベル」が利用されているものに次のものがあります。

(1) 水素イオン濃度・・・pH,水溶液の酸性,アルカリ性の尺度
(2) マグニチュード・・・M,地震が震源で持っているエネルギーの尺度
(3) 星の等級・・・○等星,星の明るさの尺度
(4) 音・・・デシベル,音の大きさの単位

例えば「pH8」とか「マグニチュード7.2」とか,「2等星」とか言いますよね。乱暴に言えばこれらは全部「水素イオンの濃度が○×10-8」,「地震のエネルギーが○×107.2
,「地球から星までの距離が○×102」という風に表された結果です。(本当に雑な言い方なので,きちんと勉強したい人は専門書を調べてくださいね。)

10を「1」,100を「2」,1000を「3」,10000を「4」という対数の感覚,こんなにも身近な分野で大活躍しているんですね。

対数の発明は,このような巨大な数を扱う学問,特に天文学の分野に計り知れない貢献をしました。上の例だけでも十分それは分かるのですが,対数がもたらした最大の功績は,実は「計算革命」にあります。それは次回お話しましょう。