1の位と10の位を入れかえると | ||||||||||
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次の誕生日で29歳になる山崎直和です。 ひっくり返すと92歳ですね。もしも自分の親が92歳だったらかなりの高齢出産と いうことになりそうです。(もちろん,違います) 子どもが25歳で,親が52歳。これなら極めて普通のことです。 子どもが13歳で,親が31歳。これもよくあることでしょう。 -------------------------------------- 同僚の英語のK先生がちょうどこの「ひっくり返すと親の歳」というパターンでして, 自分の25歳の誕生日のときに,お父さんが52歳だということに気づいて感激した んだそうです。 とてもおめでたい気分になったK先生。お父さんと「こんな偶然,次は何年後にある んだろうね?」と考えたんだそうですが,よく分からず,私のところにご質問があっ たわけです。 皆さんはお分かりでしょうか? 現在「25歳,52歳」の親子が,次に「ひっくり 返すと同じ年齢」になるのは何年後か。 -------------------------------------- 実はこのような偶然, (1)ある条件を満たす一部の親子に (2)10数年に1回しか起こらない というとても貴重な現象なのです。 「ひっくり返したら同じ歳」である親子の間には,ある共通点があります。それは, 歳の差が9の倍数になる ということです。 52−25=「27」・・・これは9の倍数。 31−13=「18」・・・これも9の倍数。 ですから,そもそも親子の歳が「9の倍数だけ」離れていなければダメです。 ということは,お子さんは,親が18歳,27歳,36歳,45歳・・・のときに生まれて いなければなりません。 次にこの現象が何年に1回起こるかですが,説明が長くなると読んでもらえそうにな いので答えを言います。 11年に1回です。 「25歳と52歳」の親子が11年後には「36歳と63歳」になり,また11年後 には「47歳と74歳」となります。11年経つと,年齢の1の位も10の位も1ず つ増える,というのがポイントです。 -------------------------------------- 今日ご紹介したのは,星の数ほどある整数の性質の1つです。 「なるほど,面白い ね」と思うと同時に,「不思議だなァ」とか「何でだろう?」と考えてしまうのが人 の常。 そうなってくれればしめたもの。その疑問に答えるために,さあ,数学の出番です。 数学は,決してマニアックで堅苦しい,数字や公式遊びの学問ではありません。 人が誰しも持っている「何でだろう?」という知りたい欲求に,筋道立てて答えを見 つけていこう,とする姿勢こそが数学の原点。 そんな数学の巧妙な論法,楽しい世界を少しでも紹介できればいいと思っています。 しまりのない文章ですが,今後もお付き合いいただければ幸いです。 -------------------------------------- さてさて,本日の話題のおさらい。 親子のめでたい偶然は,自分が9の倍数のときにお生れになったお子さんと,11年 に1回しか味わえない奇跡,ということになるわけです。 ということは結婚をお考えの皆さん,迷ってらっしゃる場合じゃないですよ? 一度 チャンスを逃したら,また11年間待たなければなりません。 ・・・ま,そこまで気にしなくてもいいか。 |
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(中高メールマガジン掲載) |