2次関数

1.何を学ぶのか

 

中学校で,xの2乗に比例する関数 y=ax2について学習しました。高校ではこの式の右辺がより一般的な2次式となります。つまり,y=ax2+bx+c という関数を扱うことになります。これを2次関数と呼んでいます。

 

 2次関数のグラフは,物体を放り投げたときにできる放物線と呼ばれる曲線になり,それは頂点を持っています。放物線が頂点を上にした状態を「上に凸」,頂点を下にした状態を「下に凸」といい,x2の係数aが負のときは上に凸,正のときは下に凸となります。

 

 中学校で学んだ2次関数 y=ax2の頂点は,原点Oに一致していました。しかし一般の2次関数の場合,頂点は原点にあるとは限りません。2次関数y=ax2+bx+c は平方完成という変形によって y=a(x-p)2+qの形にできますが,このときのグラフは,y=ax2 のグラフを,頂点(0,0)が(p,q)に移るように平行移動したものとなります。

 

 2次関数は頂点とそれ以外の1点,または頂点以外の3点が決まれば定まります。つまり,

 

          ① 放物線の頂点の座標と,それ以外に放物線が通る1点の座標

          ② 放物線が通る3点の座標

 

 のどちらかが分かっていれば,2次関数の式が求められることになります。その方法を学習します。

 

 2次関数はそのグラフの形より,必ず最大値または最小値をもちます。xが範囲(定義域)をもっていたならば,最大値,最小値の両方を持つこともあります。下に凸な放物線の場合,基本的には頂点が最小値ということになりますが,xの範囲(定義域)の中に頂点が含まれているとは限りません。

 

つまり,2次関数の最大,最小の問題は,頂点が定義域に含まれるかどうかで,さまざまなケースが考えられるのです。

 

 最後に,2次関数と方程式,不等式の関係について学習します。2次方程式ax2+bx+c=0 の解の個数は,2次関数y=ax2+bx+c とx軸との共有点の個数に一致します。2次方程式の単元で学んだ「b2-4ac」という式は,2次関数の単元でも活躍します。

 

 左辺が2次式になった ax2+bx+c>0 のような不等式を2次不等式といいます。2次不等式は1次不等式と異なり,2次関数を利用した図形的な解法を行います。

 

不等式を解くときは,まずy=ax2+bx+c のグラフをかき,x軸との交点のx座標を求めます。

 

次にグラフでy>0となっている部分をx軸から読み取るのです。2次不等式にはさまざまなパターンがありますが,グラフを利用することでどんなパターンでも解くことができます。

 

 この単元は学習内容が多く苦労するかもしれませんが,高校数学のほぼ全ての分野に応用される,極めて重要な単元です。全ての内容を完璧に理解できるよう,がんばってください。

 

 

 

2.何ができればよいか

 

① y=ax2+bx+c を y=a(x-p)2+qの形に変形できる。(平方完成)

② y=ax2+bx+c のグラフがかける。xに範囲がある場合は,それに応じてグラフがかける。

③ 与えられた頂点や点の座標から,2次関数の式が求められる。

④ 2次関数とx軸との共有点の個数が求められる。(b2-4acを利用して)

⑤ 2次不等式を,グラフを用いて解くことができる。

 

※この分野が苦手な人は,まず以上の①~⑤が出来るようになってください。

 

   → 公式を覚えたい人はこちら

 

 

 

3.勉強のポイント

 

2次関数の鍵を握るのは頂点です。グラフをかくためには頂点が分からなければいけませんし,最大値・最小値を考えるときは,頂点が定義域に対してどの位置にあるのか把握できなければいけません。そのためには,上に挙げた①が絶対条件です。次のような手順に沿って行います。

 

  (例) y=2x2-8x+3

 

  (1) 前2つの項を,はじめの係数でくくる。        y=2(x2-4x)+3

  (2) カッコの中のxの係数に注目。

    その数の「半分の2乗」をカッコの中で足し引きする。  =2(x2-4x+22-22)+3

  (3) カッコの中の前から3つは,因数分解ができる。     =2 { (x-2)2-4 } +3

  (4) 中カッコ { } を外す。                =2(x-2)2-8+3

  (5) 完成。                       =2(x-2)2-5

 

この変形なくして,2次関数が得意になることはありえません。何度も練習し,変形できるようにしておきましょう。変形ができれば,グラフはかけるようになりますし,グラフがかけるようになれば2次関数という分野は何とかなります。

 

 最大値・最小値を求める問題とはこの分野に限らず,これからもずっと付き合っていくことになりますが,式だけを眺めて考えていると必ず間違いを起こします。問題を読んだら,必ずグラフをかく癖をつけてほしいものです。

 

 2次不等式はこの単元で始めて学習します。今まで習った方程式,不等式とまったく解き方が違います。ここでも2次関数のグラフがかけることが絶対条件ですので,その独特の方法をしっかりマスターしておいてください。

 

 「2次関数ができなければ,高校数学はできない」といっても過言ではありません。この単元に登場する公式,考え方,例題の全てが,極めて重要な意味を持っています。高校数学を何とかしたい,と思っているのであれば,この2次関数という分野をしっかりと勉強しておく必要があります。

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