集合と論理

 

何を学ぶのか
 条件が明確なものの集まりを集合といいます。例えば「20歳以下の日本人の集まり」は集合ですが,「若い日本人の集まり」は集合ではありません。
 集合には普通,アルファベットの大文字で「集合A」,「集合B」のように名前をつけます。集合を構成するメンバーを要素といい,こちらはアルファベットの小文字で書きます。要素aが集合Aのメンバーであることを記号でa∈Aと表します。
 世の中にはいろいろな集合があるわけですが,例えば「2の倍数の集合A」と「3の倍数の集合B」の場合,A,Bのどちらにも属するような数が存在します。つまり,この2つの集合は共通部分を持っているといえます。この共通部分の集合のことを共通集合(交わり)といい,A∩Bとかきます。また,A,Bの少なくとも一方に属する数の集まりを和集合(結び)といい,A∪Bとかきます。これらはいわば集合と集合の「掛け算」「足し算」のような意味合いを持っていて,さまざまな集合についての「計算」を行う際に重要な概念になります。

 正しいか誤りかが明確に決定できる文や式を命題といいます。例えば「1年は250日である」は命題ですが,「1年は短い」は命題ではありません。命題の中にはもう少し複雑な「pならばq」という形のものもあり,この場合の文章pのことを仮定,文章qのことを結論といいます。もし「pならばq」という命題が正しいならば,pはqであるための十分条件,逆にqはpであるための必要条件であるといいます。例えば「山崎君が鹿児島県にいるならば,山崎君は日本にいる」という命題を考えてみましょう。この命題は正しいですから,「鹿児島県にいる」ことは「日本にいる」ための十分条件です。(鹿児島にいれば,もう十分日本にいることになります) 逆に「日本にいる」ことは「鹿児島県にいる」ための必要条件です。(鹿児島にいるためには,最低でも日本にいることが必要です)

「pならばq」という形の命題は,記号で「p⇒q」とも書きます。これを元の命題とするとき,「q⇒p」という形の命題を,「pでない⇒qでない」という形の命題を,「qでない⇒pでない」という形の命題を対偶といいます。元の命題が正しいからといって,逆が正しいとは言えません。しかし,元の命題が正しいならば,対偶は必ず正しくなります。例えばある事柄を証明しなければならないとき,そのままでは証明しにくいが,文章を逆にすると証明しやすくなる場合があります。このとき,もとの命題を証明するのと,対偶を証明するのは同じことなので,証明がしやすいように文章を作りかえることができます。

 命題を応用した証明法にもう1つ,背理法というものがあります。これは「もし〜だとすると矛盾が起こる。だから〜ではない」という論法の証明で,広く応用されています。
何が出来ればよいか
@ 集合に関する記号や用語を全て覚える。(今後いろんな分野で使うことになるので正確に)
   (記号) ∈,∩,∪,φ,⊂,⊃, ̄
   (用語) 属する,要素,含む,部分集合,共通部分,和集合,空集合,補集合
A 命題に関する記号や用語を全て覚える。
   (記号) ⇒, ̄
   (用語) 真,偽,必要条件,十分条件,必要十分条件,同値,逆,裏,対偶,否定
B 集合の要素の個数計算ができるようになること。
    n(A∪B)=n(A)+n(B)−n(A∩B)などを利用。
C 命題の真偽判定ができるようになること。
D 「p⇒q」の形の命題において,必要,十分条件の判定が出来るようになること。
E 元の命題が与えられたとき,その逆,裏,対偶命題を作れるようになること。
F 対偶を利用した証明,背理法を利用した証明を理解すること。


※この分野が苦手な人は,まず以上の@〜Fが出来るようになってください。


勉強のポイント
 必要,十分条件の判定にはコツが要ります。繰り返し練習し,慣れておかなければなりません。後半に登場する2つの証明法は,考え方自体が新鮮であるため,理解するまでに時間がかかりそうです。
 この分野で学習することは,これから3年間で学ぶ数学の「あいうえお」のような,極めて基本的な事項ばかりです。用語や記号をしっかり覚えることはもちろんですが,いろいろな考え方等も十分に理解するようにしておきましょう。

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