ポイントマジック
  日本人はポイントが大好きな国民だといわれています。

様々なお店でポイントカードが発行されていますし,クレジットカードなどにもポイントがつきます。

家電エコポイントも好調ですし,住宅版のエコポイントもスタートしましたね。

ポイントの楽しいところは,ためるといろいろなものに交換できるところ。

ただお買い物をするだけでポイントがたまり,やがては別の商品に交換できる・・・

とても楽しい気持ちになってきます。おまけがもらえるような気分。

今日はこのポイントについて,考えてみたいと思います。

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ポイントを考える上でよく用いられるのが「還元率」というものです。

これは,使ったお金の何パーセント分の商品がもらえるか?を表す数値です。

例えば私の家の近所には,200円で1ポイントがつき,500ポイントで500円分の商品券に変えられるというスーパーがありますが,この場合の還元率はいくらになるか計算してみます。

  200円 →   1ポイント
         500ポイント → 100000円

10万円使ったとき,500ポイントがたまりますので,ようやく500円が還元されます。つまり,還元率は

  500÷100000=0.005=0.5%

ということになります。

そのお店では,常に0.5%引きでお買い物ができる,と考えてもいいでしょう。

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最近,大手コンビニ「ローソン」を中心として,「PONTA(ポンタ)」というポイント制度が始まりました。レンタルビデオ店,飲食店,ガソリンスタンドなどでも同じポイントカードを使うことができ,いろいろな店で共通のポイントをためることができます。

これと同様の「共通ポイント制度」の先駆けとして有名なのが,「TSUTATA」「ファミリーマート」を中心とした「Tポイント」です。これまではTポイントの一人勝ちだった感のある共通ポイント業界ですが,PONTAの登場によりますます競争が激しくなっていきそうです。

しかしTポイントにせよ,PONTAにせよ,ポイントシステムはほとんど同じです。店舗によって例外はありますが,基本は「100円で1ポイント」たまり,「1ポイント=1円」として使うことができます。

ということは還元率は,「100円 → 1ポイント=1円」ですので,100円使うと1円返ってくることになり,

  1÷100=0.01=1%

となります。私の家の近所のスーパーの倍です。

TポイントやPONTAが使える店であれば,常に1%引きで買い物ができることになります。
家電でおなじみの「ヤマダ電機」,ネット通販でおなじみの「楽天市場」など,ポイント制度で有名な多くの企業でも,この1%という還元率が基本になっています。

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ここまでで,どのような感想をお持ちでしょうか。


なんだか,大した事ないな・・・



と思われたのではないですか?

じっさい,世の中には星の数ほどポイントシステムがありますが,ほとんどの場合,還元率は0.5%〜2%のようです。ごくまれに3%,4%といった高い還元率もありますが,いずれにせよ,ポイントを利用して得をする金額は「消費税5%」を超えることはないのです。

逆に考えれば,某スーパーがよくやっている「今日は全品5%OFF」という割引は大きな割引だといえますし,デパートの歳末バーゲンで3割引(30%OFF)というのは,ポイント制度を凌駕する,とんでもない割引だということになります。(期間限定だからできることでもあります。)


つまり,いくらポイントが付くからお得といったって,せいぜい得をするのは1%程度なのです。

298円の肉を買って,2〜3円分の得をするだけです。

それだったら同じ肉を夕方5時以降に10円引きで買ったほうがはるかに得をすることになりますよね。

お母さん方が毎朝チラシをみて,1円でも安い店を探していらっしゃいますが,もし120円の食パンを115円で買える店を見つけたら,4.1%の還元率。例えポイントが付かない個人経営の店でも,そこで買い物をしたほうがはるかに賢い買い物ということになります。

私たちはポイントというおまけに惑わされて,それ以外の店で買い物をしなくなってしまったり,いらないものまで買ってしまったり,本当にお得な情報を見逃してしまっていたりしているのかもしれません。

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ここまで,民間企業がサービスとして実施するポイント制度を見てきました。利益とサービスの兼ね合いをぎりぎりまで計算し,経営者の涙ぐましい努力によって数%のポイントが私たちに還元されるわけですが,その限度は約2%でした。

ところが政府が政策として実施するポイント制度は,破壊力が違います。

家電エコポイントについて考えてみましょう。

例えば32型の液晶テレビを購入したら,12000ポイントがもらえます。

このポイントは,いろいろなものに交換できるのですが,分かりやすいものとして電子マネー「WAON」があります。これは1ポイントを1円として,イオン系列の店舗で使うことができるものです。これに交換することにして,還元率を計算してみましょう。

液晶テレビが10万円だったとすると,12000ポイント=12000円が返ってきますので,

  12000÷100000=12%

となります。(実際は手数料が引かれるので,これより少し下がります)

もし,セールなどで同じテレビを安く買うことができたとしても,エコポイントは変わらず12000ポイントもらうことができますので,テレビを90000円で買ったとすると,

  12000÷90000=13.3%

ということになり,少し還元率が上がります。

めったにありませんが,もしもテレビを50000円で買うことができたら,なんと還元率は24%です。

このポイント制度の目的はあくまでも「エコ家電の普及」ですので,一概に比べることはできませんが,それにしても破格のポイントシステム。

もし民間企業がこんなことをしたら,経営は成り立ちません。

政府がこの政策に対して,いかに大きな出費をおこなっているかがわかります。

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私はポイントが大好きです。やっぱり日本人ですから,おまけをもらえると嬉しい気分になります。

一方でそこに目をつけてポイントシステムを考えた人は,本当にすごい人だと思います。そして,とても数字に強い人だと思います。

ポイント制度の本質は「ポイントは使わなければならない」という点にあります。その場で現金値引きをすれば,取引はその1回限りで終了ですが,ポイントをつけることで,客はそのポイントを使うために,もう1回買い物をしなければなりません。

ポイントをもらうということは,次回の取引を約束させられる,ということでもあるのです。

せっかくのお得なポイントシステムですから,私たちもその仕組みをしっかりと理解し,無駄な買い物をすることなく,うまく利用していきたいものですね。

知らないうちに,数字の強い人たちの思う壺にはまらないように・・・