1.何を学ぶのか
不等号(<,>,≦,≧)を含んだ式を,不等式といいます。特に,1次式のみを含んだ1次不等式については,中学校で学習した1次方程式と同様にして解くことができます。不等式の操作で気をつけなければならないのは,両辺に負の数を掛けたり,負の数で割ったりすると,不等号の向きが変わってしまうという点です。
この単元ではまず1次不等式の解法を学習し,その応用として連立不等式,絶対値を含む不等式を学習します。
次に,2次方程式について学習します。2次方程式とは ax2+bx+c=0(a≠0) の形に整理できる方程式のことです。2次方程式の解法には大きく次の3つあります。
① 因数分解して解く方法
② 平方完成して解く方法・・・(a-p)2=q の形に変形する。
③ 解の公式を用いる方法
最も簡単なのは,①による方法です。しかし,左辺が因数分解できない場合は,①の方法は使えません。それに対して,②,③の方法は,少し面倒ですが,どんな方程式に対しても使える方法です。②の方法から作り出された,③の「解の公式」は,あらゆる2次方程式を解くことのできる,万能の公式です。
しかし,あらゆる2次方程式が解をもつとは限りません。例えば,x2+1=0 という方程式は,こんなに簡単な式なのに,解くことができません。この方程式はx2=-1と変形できますが,2乗して-1になるような実数は存在しないからです。(参照:複素数)
公式を用いて説明するならば,解の公式の√の中身,つまり「b2-4ac」が負になってしまうと,その方程式は実数解をもたなくなります。「b2-4ac」が0ならば,実数解を1つだけもち,正の数ならば異なる2つの実数解をもちます。通常この「b2-4ac」はD と書かれ,「判別式」と呼ばれています。方程式の解の個数を判別するのに便利な式として,広く活用することになります。
2.何ができればよいか
① 1次不等式が解ける。
② 因数分解を利用して,2次方程式を解くことができる。
③ 「平方完成」という変形ができる
④解の公式を覚えている。
⑤ 解を求めることなく,2次方程式がいくつの実数解をもつか確かめられる。
※この分野が苦手な人は,まず以上の①~⑤が出来るようになってください。
3.勉強のポイント
1次不等式の解き方は,中学校で習った1次方程式の解き方とそっくりですが,負の数を掛けたり割ったりすると不等号の向きが変わります。このことに早く慣れてほしいものです。
方程式とは異なり,不等式の解は「範囲」になります。連立不等式では,それぞれの不等式を解いて得られた2つの範囲を「まとめる」という,連立方程式にはない操作が必要になります。
2次方程式は,これから皆さんが3年間ずっと付き合っていかなければならない相手です。2次方程式の3つの解法は,いずれも今後のために絶対に必要な方法ですので,しっかり理解しておきましょう。とくに,解の公式は確実に覚えておかなければなりません。
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