三角形の重心・四角形の重心・・・

数学まるかじり
1.線分の重心
重心とはその字の通り,重さが集中する点のことをいいます。指で支えて,うまく釣り合いが取れるところ,と考えてよいでしょう。
数学ではあまり「線分の重心」を考えることはありませんが,もし太さも材質も均質な1本の棒があり,それを指で支えるとすれば,当然,その棒の中点に指をあてれば釣り合うことになります。
数学において,線分の重心と中点は一致するということになります。
ただし,物理的には少し応用があります。

 

両端に重りがついた1本の棒を考えてみてください。

 

重りの重さが等しければ,この棒の重心はちょうど中央になります。

 

ところが,左の重りが右の重りの2倍の重さだったとすると,重心は棒の中央ではありませんね。

 

中央に指を当てても,この棒はうまく釣り合ってくれませんから。

 

このときの重心は,棒を,左から右へ1:2に分ける点になります。

 

 

2.三角形の重心

 

均質な三角形の板を,1本の指で支えるとして,うまくバランスが取れる点が1箇所だけあります。そこが三角形の重心ということになります。

 

三角形の重心は,いちいち指を当てて実験しなくても,作図をすることで求めることが出来ますね。

 

それぞれの頂点から向かい合う辺の中点に向かって線を引くと,それら3本の線はある1点で交わります。

 

そこが三角形の重心です。

 

物理的には,三角形の重心には,その三角形全体の重さが集中している,と考えることもできます。

 

 

3.四角形の重心

 

では,四角形の重心はどうでしょうか? 実験することなく,図から位置を特定することが出来るでしょうか。

 

四角形は,1本の対角線によって,2枚の三角形に分けることが出来ます。

 

 

それぞれの三角形の重さは,それぞれの重心に集中すると考えられます。

 

あとはその2つの点にかかる重さを,うまく釣り合うように,どこか1点で支えてやればよいことになります。

 

2枚の三角形はそれぞれ面積が違うでしょうから,当然重さも違っています。

 

もし上側の三角形の面積が,下側の2倍だったとすると,上側の重心にかかる重さは,下側の2倍になります。つまり,1本の棒の両端に,重さの違う重りがぶら下がっているのと同じ状態です。

 

 

ということは,四角形の重心はどこか,もう分かりますよね。

 

そうです。右の図の線分ABを2:1に内分する点が,四角形全体の重心ということになります。

 

 

 

 

 

 

 

4.多角形の重心

 

ここまで話してきたとおり,三角形以上の多角形においては,数学と物理の考え方をうまく組み合わせることによって重心を求めることができます。

 

五角形であれば三角形3枚分の重さを,六角形であれば三角形4枚分の重さを,という風にして考えることで,多角形の重心を求めることもできるわけです。

 

もっとも,数学において三角形以外の重心を求める機会はあまりありませんけどね…

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