夢の値段 ~宝くじに当たる確率と期待値

数学まるかじり
1 当ててみたいな~。宝くじ

 

いつの時代にも,宝くじの売り上げは好調だそうで・・・

 

「○○億円あたったら,どんなことをしようか」

 

なんて,考えるのはとても楽しいんですよね。

 

ただ,やはり大きな問題なのは,

 

…宝くじって,なかなか当たらないんですよね。

 

 

額は少なくてもいいから,もっと当たりくじの数を増やしてくれればいいのにな,と誰しも思うところではないでしょうか。

 

 

 

2 なぜか「当たらない気がする」宝くじ

 

 

古いデータで恐縮なのですが,年末ジャンボ宝くじが創設30年を迎えた時の公式キャンペーンサイトから持ってきたデータをご紹介します。

 

この時の当選金と本数は以下のようになっていました。

 

  1等       200,000,000円 (70本)

  1等の前後賞   50,000,000円 (140本)

  1等の組違い賞  100,000円 (6,930本)

  2等       100,000,000円 (140本)

  3等       5,000,000円 (700本)

  4等       100,000円 (42,000本)

  5等       10,000円 (700,000本)

  6等       3,000円 (7,000,000本)

  7等       300円(70,000,000本)

  ジャンボ30年感謝賞  1,000,000円 (7,000本)

 

 

宝くじにそこまで詳しいわけではないのですが,結構いろいろな金額が当たるんですね。ちょっと驚きました。

 

 

ちなみに発売総額は2100億円とのこと。宝くじ1枚が300円(当時)ですから,

 

2100億÷300=7億

 

つまり,全部で宝くじは7億枚準備されるということになります。

 

 

そう考えてみると,1等は7億枚のうちのたった70枚しかないわけですから,当選する確率はわずか1千万分の1。

 

東京都の人口が約1400万人ですから,全員が購入したとして,当たるのはわずか1人か2人の計算。

 

なるほど,これじゃあ当たらないのと同じですね。

 

 

 

もちろん金額にこだわらないのであれば,当選する確率はもう少し高くなります。

 

たとえば7等は70,000,000本も用意されていますので,当選確率は10分の1。つまり,10%です。

 

 

1等から7等まですべてひっくるめると,当選本数は77,756,980本。当選確率は11.1%となりますので,まあ,これならまったく当たらないとも言い切れないわけです。

 

 

 

 

でも,これだけの当選確率がありながら,

 

 

「宝くじって,当たらないなぁ・・・」

 

 

という印象を持ってしまうのはどうしてなのでしょうか?

 

 

それは「期待値」という考え方で説明できるかもしれません。

 

 

 

 

3 平均すると宝くじでいくら当たる?

 

「期待値」というのは統計学の用語で,簡単に言えば「平均」のようなもの。

 

 

宝くじは,当選番号によっては2億円がもらえたり,1万円だったり,300円しかもらえなかったりするわけですが,「平均すると」宝くじ1枚当たり,いったいいくらの当選金がもらえるのか。

 

 

つまり,宝くじ1枚あたりの,当選金の「期待値」はいくらなのか。

 

 

ちょっと計算してみたいと思います。

 

 

といっても,別に難しい計算ではありません。

 

 

 

 

宝くじの発売元(全国自治宝くじ事務協議会)が準備しなければならない当選金の総額は267,393,000,000円です。

 

 

宝くじの発行枚数は700,000,000枚(当時)ですから,

 

 

99,393,000,000円÷700,000,000枚=141.99

 

 

つまり,宝くじ1枚当たり,約142円の当選金が平均して割り当てられていることになります。

 

 

 

 

・・・いかがでしょう? 1枚当たり300円払って,平均142円の当選金がもらえることを期待するわけです。

 

 

「宝くじが当たらないなぁ・・・」

 

 

という実感は,この辺りに秘密があるのではないでしょうか?

 

 

 

見方を変えれば,発売元にとって,宝くじというのはとてもよい収入源ですね。

 

 

そりゃ,ごくたまに数億円という大金を払わなければなりませんが,ほとんどのくじは当選金がわずかであるか,ハズレくじなわけですから,トータルすると1枚当たり142円の負担で済みます。

 

 

そして,このくじを1枚300円で販売するのです。

 

 

1枚売るごとに,158円の利益が出ます。

 

 

7億枚を完売できれば,何と総額1106億円の利益が上がることになるわけです。たとえ当選金をすべて支払ったとしてもです。

 

 

もちろん,これらの利益は公共事業等に公正に使われることになるわけですが,宝くじの仕組みを考えてみることで,いろいろなことが見えてくることがお分かりいただけたでしょうか。

 

 

 

 

4 でも誰かが必ず当たる,それが宝くじの魅力かも…

 

・・・すみません。なんだかすっかり興ざめな話になってしまいました。

 

 

そもそも宝くじとは,夢を買うもの。

 

 

夢の値段を142円とはじき出してしまう,私のような人間には,福の神も微笑んではくれないのかもしれません。

 

 

ただ,間違いなく言えることは,世の中には確かに数億円,数万円の当選金を引き当てている人がいるということ。その確率はとても低いけれども,決して0ではないということ。そして,0でない限り,「必ず誰かが当たる」ということです。

 

 

「誰かが3億円を引き当てる確率は100%」

 

 

これが,宝くじが多くの人を惹きつけてやまない理由なのかもしれませんね。

コメント

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