ポイントと値引きはどちらがお得? ~ポイントの還元率

数学まるかじり

1.みんな大好き「買い物ポイント」

 

日本人はポイントが大好きな国民だといわれています。

 

様々なお店でポイントカードが発行されていますし,QR決済やクレジットカードなどにもポイントがつきます。

 

ポイントの楽しいところは,ためるといろいろなものに交換できるところ。

 

ただお買い物をするだけでポイントがたまり,やがては別の商品に交換できる・・・

 

とても楽しい気持ちになってきます。おまけがもらえるような気分。

 

今日はこのポイントについて,考えてみたいと思います。

 

 

 

2.ポイントで重要なのは「還元率」

 

ポイントを考える上でよく用いられるのが「還元率」というものです。

 

これは,使ったお金の何パーセント分の商品がもらえるか?を表す数値です。

 

例えば私の家の近所には,200円で1ポイントがつき,500ポイントで500円分の商品券に変えられるというスーパーがありますが,この場合の還元率はいくらになるか計算してみます。

 

200円 →   1ポイント

500ポイント → 100000円

 

10万円使ったとき,500ポイントがたまりますので,ようやく500円が還元されます。つまり,還元率は

 

500÷100000=0.005=0.5%

 

ということになります。

 

そのお店では,常に0.5%分お得にお買い物ができる,と考えてもいいでしょう。

 

 

 

大手コンビニを中心として,「PONTA(ポンタ)」「Tポイント」というポイント制度があり,今ではだいぶ定着してきました。レンタルビデオ店,飲食店,ガソリンスタンドなどでも同じポイントカードを使うことができ,いろいろな店で共通のポイントをためることができます。

 

大手ネット通販サイトの楽天やAmazon,各携帯電話会社等も競うようにしてポイント制度を用意しており,「乱立」ともいえる激戦状態になっています。

 

しかしTポイントにせよ,PONTAにせよ,ポイントシステムの基本はほとんど同じです。

 

店舗によって例外はありますが,よくあるパターンは「100円で1ポイント」たまり,「1ポイント=1円」として使うことができるというものです。

 

ということは還元率は,「100円 → 1ポイント=1円」ですので,100円使うと1円返ってくることになり,

 

1÷100=0.01=1%

 

となります。私の家の近所のスーパーの倍です。

 

TポイントやPONTAが使える店であれば,常に1%引きで買い物ができることになります。

 

家電でおなじみの「ヤマダ電機」,ネット通販でおなじみの「楽天市場」など,ポイント制度で有名な多くの企業でも,この1%という還元率が基本になっています。

 

 

 

3.ポイントは本当にお得なのか?

 

ここまでで,どのような感想をお持ちでしょうか。

 

 

なんだか,大した事ないな・・・

 

 

 

と思われたのではないですか?

 

実際,世の中には星の数ほどポイントシステムがありますが,ほとんどの場合,還元率は0.5%~2%のようです。ごくまれに3%,4%といった高い還元率もありますが,いずれにせよ,ポイントを利用して得をする金額ほとんどの場合,消費税10%すら超えることはないのです。

 

逆に考えれば,某スーパーがよくやっている「今日は全品5%OFF」という割引は大きな割引だといえますし,デパートの歳末バーゲンで3割引(30%OFF)というのは,ポイント制度を凌駕する,とんでもない割引だということになります。(期間限定だからできることでもあります。)

 

 

 

つまり,いくらポイントが付くからお得といったって,せいぜい得をするのは1%程度なのです。

 

 

298円の肉を買って,2~3円分の得をするだけです。

 

もちろん,塵も積もれば山となる,全く何もしないよりも特になるのは間違いないですが,それだったら同じ肉を夕方5時以降に10円引きで買ったほうがはるかに得をすることになりますよね。

 

節約のために毎朝チラシをみて,1円でも安い店を探しているならば,もし120円の食パンを115円で買える店を見つけたら,4.1%の還元率。

例えポイントが付かない個人経営の店でも,そこで買い物をしたほうがはるかに賢い買い物ということになります。

 

私たちはポイントというおまけに惑わされて,それ以外の店で買い物をしなくなってしまったり,いらないものまで買ってしまったり,本当にお得な情報を見逃してしまっていたりしているのかもしれません。

 

 

 

ところで,

 

①10%のポイントが付くお店

 

②10%値引きしてくれるお店

 

がある場合,①と②,どちらが得だと思いますか?

 

「どちらも同じじゃないの?」

 

と思っていらっしゃるかもしれませんが,実は②のお店のほうがお得です。

 

例えば1000円の買い物をするとしましょう。

 

①のお店では100円分のポイントをもらえますが,ポイントは持っているだけでは意味がなく,いつか使わなければなりませんから,後日必ず100円分の商品と交換しなければなりません。つまり,①のお店では

 

「1100円分の品物を1000円の出費で手に入れた」

 

ことになりますので,100÷1100=0.0909… およそ9.1%の還元率です。

 

②のお店ではその場ですぐに100円引き,つまり900円になりますから

 

「1000円分の品物を900円の出費で手に入れた」

 

ことになりますので,100÷1000=0.1… 10%の還元率です。

 

割合は同じであっても,やはりポイントは現金値引きには勝てないわけです。

 

 

 

4.「ポイントマジック」に惑わされず,賢く楽しく買い物を

私はポイントが大好きです。やっぱり日本人ですから,おまけをもらえると嬉しい気分になります。

 

一方でそこに目をつけてポイントシステムを考えた人は,本当にすごい人だと思います。そして,とても数字に強い人だと思います。

 

ポイント制度の本質は「ポイントは使わなければならない」という点にあります。その場で現金値引きをすれば,取引はその1回限りで終了ですが,ポイントをつけることで,客はそのポイントを使うために,もう1回買い物をしなければなりません。

 

ポイントをもらうということは,次回の取引を約束させられる,ということでもあるのです。

 

せっかくのお得なポイントシステムですから,私たちもその仕組みをしっかりと理解し,無駄な買い物をすることなく,うまく利用していきたいものですね。

 

知らないうちに,数字の強い人たちの思う壺にはまらないように・・・

 

 

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