1. 足し算で1+1=2は当たり前?
かのエジソンは子どもの頃,「1+1=1」であると言ったことで有名です。
例えば粘土で出来た2つのダンゴをあわせると,1つの大きな団子になりますからね。
2つのダンゴがガラスで出来ていたとすると(ダンゴって言うのか分かりませんが・・・)勢いよく合わせたら,割れて無数の破片になります。
つまり,「1+1=∞」なんてことにもなるのかもしれません。
ずいぶん屁理屈のような例を挙げてしまいましたが,「+」が表す「加法」と呼ばれる演算は,取り扱う対象や約束の仕方によって計算のルールが異なってくるのは事実です。
1+1=0が成り立つ場合だってあります。
例えば,割り算の余りだけに注目した場合です。
2で割ったときの余りだけにこだわって話をするならば,4,10,24などのように2で割り切れる数は全て「0」,15,21,67のように2で割って1余る数は全て「1」と表現できます。
(2で割って1余る数)+(2で割って1余る数)=(2で割り切れる数)
というのは正しいですよね。
つまり,扱う対象を,数の「余り」であると約束した場合は1+1=0が成立することになるわけです。
2. そもそも足し算(加法)って何?
そもそも「加法」というのは何なのでしょうか?
小学校までは「数字と数字の足し算」ということですみますが,中学,高校に進むと
「式と式の足し算」
「ベクトルとベクトルの足し算」
「グラフとグラフの足し算」
などのような発想が出てきますから,簡単に「2つのものを合わせる計算」とか「何かが増える計算」という説明で片付けるのは難しそうですね。
大学数学のように高度な段階に進むと,「足し算」「掛け算」のような「演算」と呼ばれる操作の,そもそもの意味を深く考えるようになります。「抽象代数学」といいます。
数字だけでなく,文字式やベクトルや関数,ひどいときには物や現象同士の「演算」というのを考えるようになりますが,どの「加法」にもある共通した性質があるはずです。
興味のある方は是非調べてみてください。
余談になりますが,私自身,大学で初めて1+1=2であることの「証明」を学んだとき,あまりの難しさに卒倒しそうになりましたが,同時に「数の世界ってこんなにも奥深いんだ!」と,ちょっとビックリした覚えがあります。
(確か自然数に関する「ペアノの公理」に関連付けた証明でした。もうあまり覚えていませんが…)
当たり前だと思っているものほど,きちんと説明するのは難しいもの…
これに正面から立ち向かっていくのが,数学という学問の苦しさであり,面白さなのかもしれませんね。
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